使い方
モル濃度(記号 M、単位 mol/L)は wet-lab で最も基本的な濃度単位で、「溶液 1 L あたりの溶質のモル数」を表します。計算自体は単純ですが、単位の落とし穴は本物 — モル質量は g/mol、体積は mL ではなく L、質量は mg ではなく g。どれか一つを間違えると 1000 倍ずれます。本ツールは、他の 2 つの値とモル質量から、質量・体積・濃度のいずれかを求めます。モル質量のデフォルトは地球で最もピペットされる化合物 NaCl(58.44 g/mol)。
希釈モードは C₁V₁ = C₂V₂ の恒等式 — ストック溶液を希釈する際のモル数保存 — を使います。ストック濃度(C₁)、目標濃度(C₂)、必要な最終体積(V₂)を入力すると、必要なストック体積(V₁)が返ります。V₂ の残りは溶媒(通常は水またはバッファー)です。ラボでもっとも多い希釈の質問「1 M のストックがあり、0.1 M の作業液を 100 mL 作りたい。ストックはいくら?」に直結します。答え:ストック 10 mL + 溶媒 90 mL。
組織培養用の抗生物質を調製するときも、PCR 用のプライマーを希釈するときも、滴定用の水酸化ナトリウムを作るときも、計算式は同じです。違うのは使う単位 — プライマーはマイクロモル(µM)、バッファーはミリモル(mM)、ストック酸はモル(M)。本ツールは mol/L で表示するので、ボトルに書かれている単位に合わせてスケールしてください。
計算式
n = モル、C = モル濃度(mol/L)、V = 体積(L)、モル質量は g/mol。希釈の恒等式はモル数が保存される場合に成り立ちます — つまり「反応」ではなく「希釈」をしているとき。C₁ と C₂ は同じ単位(両方 M、または両方 µM など)を使う必要があり、V₁ と V₂ も同様です。本ツールでは現場での実用性から V₂ を mL で入力し、V₁ も同じ mL で返します。
計算例
- 0.5 M NaCl を 1 L 調製。モル質量 58.44 g/mol。
- 質量を計算:n = 0.5 × 1 = 0.5 mol → 質量 = 0.5 × 58.44 = 29.22 g。
- 0.1 M に希釈:0.5 M ストックから 0.1 M を 100 mL → V₁ = 0.1 × 100 / 0.5 = ストック 20 mL + 溶媒 80 mL。
よくある質問
ボトルには µM や mM と書いてあるのに、結果が mol/L なのはなぜですか?
mol/L(SI 基本単位、モルを表す M とも書かれる)が正準的な濃度単位です。各接頭辞は単なるスケーリングで、1 mM = 0.001 M、1 µM = 0.000 001 M、1 nM = 0.000 000 001 M。変換は適切な 1000 倍で乗除するだけ。本ツールはどの接頭辞を使いたいかを仮定せず mol/L で表示するので、ラベルに書きやすい桁数になる接頭辞を選んでください。
CuSO₄·5H₂O のような水和物はどう扱いますか?
水和物の場合は無水物ではなく水和形のモル質量を使ってください。CuSO₄ は 159.6 g/mol ですが、CuSO₄·5H₂O は 249.7 g/mol — 結晶格子中に水分子が 5 個(5 × 18.0 = 90 g)含まれるためです。五水和物を秤量しながら無水のモル質量で計算すると、濃度は 249.7 / 159.6 ≈ 1.56 倍だけ低くなります。試薬ボトルのラベルに記載されている形に合わせて選んでください。
溶質によって最終体積が大きく変わる場合はどうしますか?
この式は「最終体積を自分で測って決める」前提です。だからこそ標準的なプロトコルでは、溶質をまず少量の溶媒で溶かし、その後にメスフラスコで最終体積までメスアップする手順を取ります — 逆ではありません。希薄溶液(< 1 M)では溶質の体積寄与は通常無視でき、溶媒を V mL 測って溶質を加えるだけでも十分です。濃厚溶液(例:5 M を超える糖や塩)では必ず最終体積までメスアップしてください — そうしないと 5〜15% ずれます。